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201. プロ野球選手でピーク・エンド・セオリーを考えてみる。

前回ブログで「ピーク・エンド・セオリー」について書いたが、実例を用いて考えてみたい。

私の好きなプロ野球の例を用いてみる。

元広島カープの黒田博樹氏と現ソフトバンクホークスの松坂大輔投手を比較してみる。まず前提に、二人とも偉大な投手であることは疑う余地もないことは言っておく。

Wikipediaでも何でも見てもらえれば分かると思うが、間違いなく、10代、20代の頃は松坂投手の方がプレイヤーとして活躍していた。甲子園でも春夏連覇を成し遂げ、西武ライオンズへドラフト1位で入団し、3年連続最多勝、WBCでも2大会連続MVP。一方、黒田投手は高校時代は控え、専修大学を経て広島カープへ入団後も、ブレイクするまでには時間を要した。これが20代までの2人の立ち位置である。

しかし、共にメジャーリーグへの移籍を機に評価が一変する。松坂投手はボストン・レッドソックス入団2年目に18勝を挙げる活躍をしたが、メジャーで評価される投球イニング数(どれくらいのアウトを積み重ねたかの指標)が少なく、決して評価が高くない。表面的に見れば見栄えの良い成績なのだが、重要視されるQS率(クオリティ・スタート。6イニングス以上を3失点以内に抑える確率)も低く米国人からしてみれば、大勢の中の一投手でしかない。

一方、黒田氏はロサンゼルス・ドジャースに入団後、勝ち星こそ伸びなかったもののコンスタントに投球イニングを積み重ね、ニューヨーク・ヤンキース移籍後もメジャーの一流投手の基準となるシーズン200イニングスを何度も記録した。メジャー通算79勝79敗の勝率5割ではあるが、黒田氏の方が断然評価が高い。

ここでピーク・エンド・セオリーのピークが終了。

そして極めつけは日本に帰国後の立ち位置。ここからエンドに入る。黒田氏はニューヨーク・ヤンキースから20億円とも言われる年棒提示を受け入れず、育ての球団である広島カープへ5億円の年棒で再入団した。そして2年間チームを引っ張り、最後のシーズンには通算200勝を達成し、チームを25年ぶりのセ・リーグ優勝に導いた。誰もが分かる形で最高のエンドで選手人生を終えた。

一方、松坂投手はソフトバンクホークスに年棒4億円で3年契約したが、3年目の現在まで1軍登板はたった1試合。しかもその1試合が散々な内容。怪我の影響で身体が動かないという苦悩があるのだろうが、年棒が年棒なだけあって評価は最悪。

仮に松坂投手が今シーズン限りで引退するとしても、終わり方が悪すぎる。ここで引退するならば、メジャーで引退した方が終わり方が良かった。そこでなら、監督やコーチとしての打診は山ほどあったことだろう。この最悪な印象は引退後も付いて回ってしまうから、ファンの目を大事にするプロ野球球団からして見れば監督にするのは「うーん..」とも思うだろう。ハイリスク・ローリターンだ。

一方、黒田氏が広島カープの監督になる日はそう遠くないと思う。印象も最高に良いので、何かを成し遂げた時のリターンも高い。ローリスク・ハイリターンだ。黒田氏はヤンキースで蹴った20億を考慮しても今後十分にペイバックできる。

松坂投手はホークスから12億円もらえるが、印象良く引退していれば12億円は軽く稼げていたはずだ。それが印象悪くなり、それが今後の収入にも悪影響を与えると思う。

もちろん生涯かけても使い切れないほどのお金を既に稼いでおり、生き方の選択なので個人の自由。完全なる結果論だし、人生が見通せていればこんなに楽なことはない。しかも私は何も責任を取らなくて良いポジションからこんな文章を書いている。

しかし、実例を見てもやはり終わり方は重要。やはりピーク・エンド・セオリーは実在すると思うので、終わり方にも全力を捧げたい。

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